理事長所信


一般社団法人 羽島青年会議所
理事長 山田 康貴

【はじめに】

 2011年3月11に発生した東日本大地震におきまして、被害に遭われました方々に心よりお見舞い申し上げます。思えば、阪神淡路大震災が起きた時、私は京都に住んでおりましたが、それからわずか16年の間に再びこのような大震災の時が日本に来ようとはその時には考えてもみませんでした。
この16年の間に、20世紀から21世紀へと世紀が変わり、携帯電話が普及し、ネット社会と変化して行き、所謂バブルと呼ばれた時代から氷河期を、そして失われた10年が、失われた20年と呼ばれようとしているわけですが、時が重なっていくことと反比例するように、人々の意志というものは先鋭化するところだけが先鋭化して、時代全体の意思はむしろ後退しているようにみえます。
日本は、20世紀中に第一次重消費経済からは脱却しつつありましたが、先見性をもたない、21世紀への保険を支払わない経済大国の道を安穏として歩んだばかりに、そこからも転げ落ちる勢いです。だいたい、かくも老齢化の進んだ国家というものは未曾有の事態であるにもかかわらず、前世紀の倫理観が横行しているという不思議さを、何故に政治も、経済も受容できるのかは理解に苦しむものがあります。自己改革の必要に迫られているのに、旧態を維持するためだけのシステムが横行しようとしているのは時代にとって非常に危険であるとさえ思えますし、組織その本来の設立理念すら忘れられているという事態は極めて危険であると自覚するべきでしょう。それは、我々一地方に生きるJCメンバーとて無縁ではなく、その組織構造の維持に汲々としているLOMが多いのも事実でありましょう。しかし、そのような時だからこそ青年としての英知と勇気と情熱を持ってこの現状を打破していかねばなりません。我々は21世紀に責任を持つべき者としての主張を、活動をしていかねばなりません。

私がこの羽島青年会議所で諸先輩方より延々と言われてきたことは「結局何のために、何がしたいのか?」であります。まず「目的ありき」。あくまでその目的の達成のため、愚直なまでに努力していくこと。

本年度のスローガンは「凛」とさせていただきました。

我々の活動はあくまで理念と目的の上に立たなくてはいけない。愚直なまでに、決して折れない一本の刀のように。その目的の達成を研ぎ澄ましていかなければいけない。その思いをこの一文字に込めさせていただき、本年を全うしていきたく思っております。

【信頼を繋げる継続事業】

 我々、青年会議所の組織は「単年度制」であります。人事も、事業も一年を持って刷新され、新たな発想や、活動の根となるわけで、「固定化による組織の死」を逃れるためには非常に有効な組織構造となっています。しかし、それでも当然全く違う組織ではないのですから、継いでいかなくてはならないものは存在します。諸先輩方の今までの思いであったり、市町民の方々の期待であったりするわけですが、その中でも継続的な事業というものは非常にわかりやすく信頼を繋げてくれます。ありがたい事に、先輩方の企画した継続事業は非常に好評を持って迎え入れられています。JC活動は不連続の中の連続である。とはよく言われることですが、その意味を十分に噛み締めて、継続事業を行っていかなくてはいけません。たとえ同じものでも、様々な角度から見ることによって異なる姿が見えてきます。その時代の意識を感じ取り、その年にふさわしいやり方で継続事業にあたっていくことこそ、真の継続であると思います。

まずは、何のために継続していくのか?そして、今年はどうしたいのか?

【地域と次代の若者達と】

 我々はたとえ生まれは違えど、今、この地域で活動しています。
宇宙へ行った人は必ずロマンチストか、環境擁護派になって帰ってくるものですが、それは自分たちの立っている、そしてあるべき場所というものを実感するからだといいます。自分がどこにいるのかを知る。という行為は周囲のものを愛するのに非常に重要な作業なのでしょう。
地域に住む人々が、その地域を愛するためにはそれを体感することが重要と考えます。社会が便利になりすぎているために、中々体感するということがなく、書物や、講演やインターネットの中だけで、やった気になる、出来る気になってしまう世の中ですが、最後は「体感」するしか無いのではないか?と思っています。地域を愛するのも実は一緒なのではないか?と思うわけです。この地域を継いでいく次代の若者達が、地域を愛していける下地を作ってあげなければいけません。歴史や、文化を内包した「地域」を体感し、実感する事業が重要だと考えます。知れば愛おしくなるものです。知らないものを、嫌うことも愛することもできません。
まちづくりのために我々がこの地域を感じていくこと、それを子供たちにも伝えていくこと。本年も地域を体感できる事業を進めていきます。その結果を判断するのは、子供たちの世代で十分ではないでしょうか?

まず感じよう、そして君たちが決めればいい。

【人間としての資質の向上】

 現在は個性の時代と言われて久しいですが、それでいて、逆に、人の個性、主権を主張するというあまりに、独善が個性としてまかりとおるという極端な例もあります。この幅の広さが世の中なのだとせせら笑うのは個人の自由ですが、そのことが退廃を生み出す土壌となるとなることに気づくものは極めて少数です。組織の硬直化による死と個性が生み出す独善による死が蔓延するのがこの2010年代なのでしょうが、そのような苛酷な環境のなかで人は、若者は、次の時代の希望などはもてないという厭世観に支配されても仕方が無いという部分があります。しかし、本来の子ども達、若者たちというものは、基本的に善なるものとして成り立っている。ある小説に似たような話がありましたが、小学生の頃なら誰でも考えたことがあると思います。
「今この教室に、悪者が現れたらどうしよう?」
そしてこの結論は決まってこうです。
「ぼくがみんなを守るには…」
誰でも考えたことがあるはずです。重要なのは誰もが考えたことがあるということで、30人の教室ならその30人がみんな、仲間を守りたいと思っている。このような子供たちが大人になって、世界が良くならないわけはない。ならば、このような厭世観などというものは、我々大人の事情であり、また大人になっていくにつれての問題であるわけで、我々が自ら払拭していかなくてはならない。

我々が背中を見せ続けていける青年であるためにも、人としての資質向上を忘れてはならないと思います。残念ながら我々は失敗を許される世代ではありません。JCの事業としては、考えに考えぬいて、苦労し尽くしたものならば失敗しても良いのでしょうが、人としての生き方は失敗できない、そういう所まで来ている時代になったと考えます。そのためにも人として分厚くならなければいけないと思いますし、表面のみに囚われることのない人間にならなければいけない。場合によっては将来のために自分を殺すことも覚えなくてはいけない。個性が独善に陥らないためにも議論することの意味を感じ取らねばならない。責任の意味を考えなければならない。我々がきちんとした大人にならなければならない。
事業を行うにあたり、意見が食い違うこともあると思いますが、その時こそ、資質向上のチャンスです。お互いに学び合い、人としてそして一人のJAYCEEとして成長していきましょう。大丈夫です。羽島青年会議所というものはそういう組織だと思っています。例え意見が通らなくても誰かが聞いていてくれるし、見ていてくれるものです。それならばまた頑張れるでしょう?

まずは人としての成長を。そしてJAYCEEとしての成長を。

【公益的な活動を通じた拡大活動と広報】

 一時期、このままでは20名を切るのではないかと思われた羽島青年会議所も、ここ数年の、そしてそれ以前からの会員拡大活動の甲斐もあり、少しずつ人数を増やしつつあります。会員の拡大は「まちづくり」に直接関わっていける人間の増加につながりますし、事業ごとの質の向上にも直結します。この会員の拡大には事業そのものが非常に密接に関わり合っているということがこの数年でわかってきました。つまり、みんなのためになる事業を、適切な広報をもって、しっかりと行えば、我々の活動を理解してくれる人間は増える。ということであります。当たり前のようですが、このことがうまく実を結ぶようになってきたのがここ数年ではないかと思います。
その流れをここで止めないためにも、みんなのため、まちのための事業の質向上とその活動を積極的に広報していく姿勢を続けていきます。JCメンバーのみではない、広く門戸を開いた事業が非常に会員の拡大に結びつき、また、市町民の方からの声を受け入れる受け皿としても機能しているということを自覚的に行っていきます。まずは我々を知ってもらおう、その上で仲間を増やしていこう。そのためにももっとまちのためになる事業展開を考え、実行していきましょう。

 まず知ってもらおう。そのためにもより良い事業を。

【おわりに】

 本年、卒業の年に理事長という大役を担わせていただくわけですが、1996年に入会させてもらって以来、様々なことを勉強させて頂きました。何度も挫けそうになったことはありますし、守ろうと思っていても守れなかったこともあります。自分の不甲斐なさを情けなく思ったことも、状況の悪さを呪ったこともありますが、残念ながら、羽島青年会議所に入会したことを後悔したことはありません。
私には、ありがたい事に仲間がいたという思いがあります。それは時には「お前の言ってる事はわからん」と面と向かって言ってくれる者であり、「お前の言ってる事のほうが実は正しい」とこっそり言ってくれる者でもあります。要は居心地が良かったのでしょう。「信用出来ない部分まで含めて信用できる」仲間とは良いものだと思うのです。今の若いメンバーもぜひお互いに「お前のこーゆー所が駄目だ!」と言い合えるような仲間を作って欲しいと思います。
青年会議所は40歳で卒業です。40まではまだ未熟な青年でしか無いということなのでしょうが、未熟であるからこそ、張れる胸もあるでしょうし、曲げれぬ思いもあるでしょう。43年分の諸先輩方の曲がらぬ思いを胸に、その上に自分たちの曲げれぬ思いも上乗せして、この44年目を、胸を張って、しっかりと、そしてじっくりと歩んでいきましょう。

凛として。


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